~改正民法で変わる親子のカタチ~

2026年(令和8年)4月1日、離婚後の親子関係に関するルールを定めた民法が大きく改正されます。今回の改正は、離婚後の「親子の関係」に大きく関わるものです。ニュースなどで「共同親権」という言葉を耳にして、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

今回の改正の中心にあるのは、「離婚後も、子どもにとって両親が親であることに変わりはない」という視点です。この改正の全体像と、新しく導入される制度の概要をわかりやすく紐解いていきます。


改正の主要ポイント

今回の改正(令和6年法律第33号)により、離婚後の子育てに関するルールは大きく次の4点に集約されます。

「共同親権」の導入: 

離婚後も父母双方が親権を持つ選択が可能になります。

「法定養育費」の新設:

取決めがなくても最低限の養育費を請求できる仕組みができます。

「日常の意思決定」の明確化: 

共同親権下でも、日々の判断は同居親が単独で行えます。

「子の利益」の最優先: 

あらゆる判断において、子どもの幸せが最大の基準となります。


各ポイントの詳細解説

1. 親権が「選べる」ようになります

これまでの日本の法律では、離婚後は父か母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権制度」しか認められていませんでした(民法第819条)。 しかし、2026年4月からは、父母の話し合いによって「共同親権」か「単独親権」かを選択できるようになります。

「共同親権」を選択した場合、例えば子どもの進学先(進路選択)や、大きな手術が必要になった際の同意、転居といった人生の節目となる重要な決定を、離婚後も父母が話し合って決めることになります。これにより、別居している親も子どもの成長に責任を持って関わり続けることが期待されています。

2. 日常の判断はどうなる?

「共同親権にすると、些細なことまで元配偶者に相談して許可をもらわないといけないの?」という切実な不安をよく伺います。 今回の改正では、共同親権であっても「日常の事項」については、実際に子どもを育てている親(監護親)が単独で判断できると明確にされました。

具体的には、毎日の食事の内容、塾や習い事の選択、一般的な風邪での通院などは、その都度相手の承諾を得る必要はありません。また、虐待からの避難や緊急手術など「急を要する場合」も、一方が単独で親権を行使できます。共同親権を選んでも、スムーズな日常生活が送れるよう十分に配慮されています。

3. 養育費を確実に届ける仕組み

今回の改正は、親の権利だけでなく「子どもの生活を守る」ことにも重きを置いています。その象徴が「法定養育費」制度です。 これまでは、離婚時に養育費の取決めをしていないと、後から請求して受け取るまでに時間がかかり、その間の生活が困窮するケースがありました。 改正後は、取決めがなくても法律の定める基準に基づき、一定額の養育費を請求できる仕組みが導入されます。具体的な金額は父母の収入や子どもの人数・年齢などを基準に判断されます。さらに、養育費の不払いを防ぐための「差し押さえ」等の手続きも、裁判なしで給与・預貯金への強制執行が可能に(強制執行認諾条項の簡素化)見直されます。

4. DVや虐待がある場合の「例外」

「相手と話し合えるような状態ではない」というケースも当然想定されています。 共同親権は、あくまで父母が協力して子育てができることが前提です。DV(家庭内暴力)や虐待の恐れがあるなど、共同で親権を持つことがお子様の安全や心身に悪影響を及ぼすと判断される場合、家庭裁判所は、子どもの安全や福祉を最優先に考え、共同親権が適切でない場合には単独親権を選択することになります。無理に共同を押し付けるのではなく、「子の利益(安全)」が最優先される仕組みになっています。

5. すでに離婚している方への影響

重要な点として、この改正は「これから離婚する人」だけのものではありません。施行日より前に離婚して単独親権となっている場合でも、家庭裁判所に申し立てを行うことで、共同親権へと変更できる可能性があります。制度の開始は2026年4月ですが、その影響は非常に広範囲に及ぶことになります。


まとめ

今回の改正は、単に「仕組み」が変わるだけではありません。「離婚はしても、二人の親で子どもを支えていく」という、新しい子育てのカタチを提案するものです。

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